大学で見出した豆乳ヨーグルト専用種菌について詳しくはこちら

自家製ヨーグルトがピリピリする原因

pripiri.yogurt
キノピー先生
大学准教授 兼 ベンチャーCEO
20年以上、乳酸菌の研究に従事。現役の大学教員。大学の研究成果を社会に還元するために2021年に大学発ベンチャー企業である合同会社プロバイオを設立。最高経営責任者(CEO)を務める(兼業)。

専門分野:乳酸菌や発酵食品の機能性
きんこちゃん

キノピーセンセイ、聞いてください!!

キノピー先生

どうしたの?ものすごい顔してるよ

きんこちゃん

ずっと作っていたカスピ海ヨーグルトが最近、ピリピリするんです・・・

キノピー先生

あるあるだね。雑菌が入ったんだよ

きんこちゃん

あと、玄米から作ったヨーグルトもいつもピリピリします。ペディオちゃんで作ると大丈夫なんですけど・・・

キノピー先生

原因一緒だよ。ではピリピリの原因について対策も含めて解説しましょう

ペディオちゃん

(きんこちゃん、ぼくから浮気するからだよ)

目次

手作りヨーグルトがピリピリする理由

手作りヨーグルトを食べると舌がピリピリすることがあります。これは炭酸ガス(CO2)が発生しているためです

元々のヨーグルトの種に酵母やヘテロ発酵乳酸菌などが含まれていた、途中でこれらが雑菌汚染(コンタミネーション)したなどが考えられます。

豆乳ヨーグルトを玄米を発酵させた種菌で作っている場合、もともとその種にこれらの菌が含まれていることも多く、豆乳ヨーグルトはピリピリするものだと勘違いされている方もいます。また、雑味があって美味しくないと感じる方も多いです。ですが、例えばソイペディオ菌は炭酸ガスを作らない乳酸菌なのでピリピリすることはありませんし、雑味もなく美味しい豆乳ヨーグルトができます。

酵母

酵母は真菌(真核生物)ですが、乳酸菌(原核生物)と非常に仲がいい菌です。通常の病原菌などは乳酸により低pHとなったヨーグルトなどでは生育できませんが、酵母は乳酸を餌にして増えることができるので家庭で作るヨーグルト、豆乳ヨーグルトにはコンタミしやすい菌になります。酵母にも色々な種類があり、中には危険な菌もいるので注意が必要です。

また、サッカロマイセス・セレビシエのような安全な酵母でもアルコールができたり、味に大きな影響を与えたりしてしまいます。よくご家庭で手作りパンなどを作られている方は酵母がコンタミすることがあります。中には発酵中に破裂して中身が外に出てくることもあるほどです。

味噌、醤油、ぬか漬けなど思い出してください。必ず酵母と乳酸菌は一緒にいます。そのぐらい仲がよく、逆言うと雑菌汚染しやすい菌と言えます。

ヘテロ発酵乳酸菌

乳酸菌には炭酸ガスを発生しないホモ型発酵乳酸菌と炭酸ガスとアルコールを作るヘテロ型発酵乳酸菌の二種類がいます。後者の菌で有名なのものとして、ブレビス菌やロイコノストック菌などがあります。中には環境によってホモ型発酵とヘテロ型発酵を使い分ける乳酸菌もいます。

いずれにしても、乳酸菌に乳酸菌がコンタミすると非常に分かりづらく、判別が難しくなります。機能性乳酸菌を摂っているつもりがいつのまにか違うものになっている可能性も0ではありません

そういう意味では種菌は定期的に変えるのがベストです。

その他

その他、大腸菌など炭酸ガスを作る雑菌は沢山います。しっかりと発酵が進んでpHが落ちている場合は、食中毒細菌などが増殖する危険性は少ないですが、発酵過程でこれらの菌が入ることもあるので十分注意が必要です。

また、ピリピリとは別に、カビも酵母と同様にpHが落ちていても生育するのでカビが生えていたら迷わず捨てましょう。

対策

これからは対策について書きます。

一度雑菌汚染すると、家庭では復活させることはできないと考えた方がいいでしょう。そのため、雑菌汚染したものは捨てて、新しいものに変えた方がいいと思います。

雑菌汚染を防ぐ方法はいろいろありますが、以下のことを念頭においてやってみてください。

1.しっかり容器、テーブル、手指を殺菌する

豆乳を入れる容器をエタノールで殺菌している人がいますが、発酵ではすべての菌を殺す「滅菌」が必要になりますのでエタノール殺菌は不適切です。エタノールでは菌の数は減りますが完全に殺すことができないので、テーブルや手指消毒には使えるのですが、豆乳ヨーグルトを作る容器の殺菌はできないことを覚えておくと良いでしょう。

市販のパック以外で作る場合は、容器を必ず煮沸消毒してください。蓋や種菌を入れるためのスプーンも含めて熱湯で10分ぐらい煮沸しましょう。取り出して、粗熱が取れたら使用できますが、空気中の浮遊細菌が入らないように裏返しにして、きれいな場所に置いておくといいでしょう。

ただし、それでも芽胞菌は殺菌できません。芽胞を完全に不活化するためには圧力鍋を使う必要があります。100度では不活化できないためです。ですが、家庭でやる場合は「芽胞菌は諦める」で良いと思います。毎回、圧力鍋で殺菌するとなると大変だからです。納豆の匂いがしたらまず間違いなく芽胞菌(おそらく納豆菌)がコンタミしていますが、なかには味や匂いがつかないものもありますので、私は市販のパックでそのまま作ることを推奨しています。

また、作業前はしっかりと手を洗い、作業台もアルコール綿などで拭いてから作業しましょう。

2.市販の種菌をつかう

ピリピリさせないためには、元の種に酵母やヘテロ発酵乳酸菌がいないというのが前提になります。元の種にそのような菌がいるといくら環境を良くしてもピリピリは避けられません。

そこでやはりオススメなのが市販の種菌を使うという手です。豆乳ヨーグルトを作るなら私のオススメは大学の長年の研究によって見出した特別な乳酸菌である「ソイペディオ」ですが、その他にも市販の種菌やヨーグルトなどでも作れます。ただし、牛乳では育たないものがある(ソイペディオなど)、育っても市販のヨーグルトと同じものは出来ない(できるものもあるが、プロバイオティクスとして入れられているものは、乳中での生育が緩慢でうまく増殖できないものも多い)など、ちょっと注意が必要です。また、牛乳では生育できるけど豆乳では生育できない乳酸菌もいるかもしれません(試したことがないので分かりません)。

大学発豆乳ヨーグルト専用種菌ソイペディオが気になる方は下記のリンクにアクセスしてみてください!ヨーグルトではなく豆乳ヨーグルトを作りたいならこれ一択です。

https://lit.link/probio

3.種菌用のものを別に作る

雑菌汚染を防ぐためには口をつけない植え継ぎ用の小瓶を用意するのがベストです。1L作るにはソイペディオだと25〜30mLあれば十分ですので50mLぐらいの蓋付きの瓶を使うといいでしょう。他の容器と同様に煮沸できるものを選びましょう。

以下の方法でやればコンタミネーションを起こしにくく、長く豆乳ヨーグルトを植え継ぐことができます。カスピ海ヨーグルトでも同じです。以前販売していたこちらのチューブ入り種菌の作る方法も参考になるかと思います()。

1.小瓶を煮沸する

2.作った豆乳ヨーグルトを25〜30mLほど入れる(口をつけていないもの)

3.蓋をして冷蔵庫に保存(保存可能な期間は菌により異なる)

4.次作る時、小瓶に新しい豆乳を注ぎ、蓋をしてよく振る

5.それを新しい豆乳(500mLか1L程度)にすべて入れる

6.これを2回ぐらい繰り返す

7.最後に25〜30mL程度小瓶に豆乳を入れる

8.食べる用のものと一緒に加温して豆乳ヨーグルトを作る(食べる用と保存用の2つができる)

9.小瓶の方は冷蔵庫に保管して次回つかう

4.裏技を使う

それでもどうしてもコンタミネーションが起こる場合は、以下の裏ワザをお試しください。

結論

以上をまとめると以下のようになります。

・元々の種菌に酵母やヘテロ発酵乳酸菌がいた場合は、どんなに上手に植え継いでも出来たものはピリピリする

⇒市販の種菌を使う

・後から雑菌汚染する場合も多いので、これはやり方次第で防ぐることができるが、家庭でやる分には限界がある。

⇒新しく種菌を購入する

使う菌、使用する環境、手際の良さなどで菌を購入するタイミングは変わります。一般には植え継ぎ回数は3回程度に留めるのがベストですが、1ヶ月など時間を決めておくのも一つの手です。毎日食べていたり、味付けをして食べている場合、雑菌汚染に気づきにくいからです。どんなに長くても(どんなにうまく植え継ぎできていたとしても)2〜3ヶ月したら交換したほうが良いと思います

キノピー先生

名前:キノピー先生(大学の准教授) 専門分野:乳酸菌や発酵食品の機能性 20年以上、乳酸菌の研究に従事。現役の大学教員。大学の研究成果を社会に還元するために2021年に大学発ベンチャー企業である合同会社プロバイオを設立。最高経営責任者(CEO)を務める(兼業)。

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