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夏休みの自由研究で菌を培養しよう!

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キノピー先生
大学准教授 兼 ベンチャーCEO
20年以上、乳酸菌の研究に従事。現役の大学教員。大学の研究成果を社会に還元するために2021年に大学発ベンチャー企業である合同会社プロバイオを設立。最高経営責任者(CEO)を務める(兼業)。

専門分野:乳酸菌や発酵食品の機能性
きんこちゃん

センセイ、夏休みですね!

キノピー先生

そうだね。やっと採点業務が終わって一息つけるよ。研究室は夏休みも普通にあるんだけどね。最近学生さんには、それぞれの都合に合わせたフレックスな休みを取り入れています。

きんこちゃん

大学も大変ですね。夏休みといえば自由研究ですよね。センセイは小さい頃どんな自由研究をやりましたか?

キノピー先生

私、自由研究をやった記憶がないんですよねぇ。本当になかったのか、記憶がないのか分からないですが(笑)

きんこちゃん

そうなんですね。私は何にするか散々迷った記憶があります。なんかセンセイのオススメありますか?

キノピー先生

そうだねぇ。色々思いつくけど、色んな菌を育てるのはどうだろう?

きんこちゃん

えっ?自分でできるんですか?
小さいお子さんを持つ親には貴重な情報かもしれませんね

キノピー先生

では簡単な方法を教えましょう!色々成分をアレンジすると面白いかも。なにかのお役に立てれば幸いです。

目次

培地を作ろう!

今回は真菌(酵母やカビ)を培養するための培地(ポテトデキストロース寒天培地)の作り方を教えます。未だに研究でも使われている培地です。出来合いのものを買うと高いので自作しましょう。下の量は1L分です。

準備するもの

1.ジャガイモ(200g)

ジャガイモにはデンプン、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれており、真菌を培養するにはもってこいの食材です。

2.寒天(15g)

寒天はジャガイモ抽出液を固めるために使います。

なんでもいいですが、下記のような粉末だと使いやすいかもしれません。量は少なくていいのでスーパーなどで棒寒天を買ってもいいと思います。

3.ブドウ糖(20g)

糖源として使います。英語ではグルコースです。

砂糖でもいいと思いますが一応、リンク貼っておきます。

4.その他、ガーゼ、包丁、お玉、容器、綿棒など

作り方

  1. ジャガイモの皮を向いて1cm角ぐらいに切る
  2. 1Lの水にジャガイモを入れて20分〜1時間ぐらい加熱して成分を抽出する
  3. 寒天、ブドウ糖を入れて寒天が完全に溶けるまで加熱しながら混ぜる
  4. ガーゼなどで液体を濾す
  5. 水分が飛びすぎている場合はお湯を足して1Lぐらいにする
  6. お玉を使って固まらないうちに、容器に入れる
  7. 室温に放置して固まるのを待つ
  8. 完成

容器は熱で溶けなければ何でもいいですが、シャーレのような蓋付きの平べったいやつがいいと思います。100円均一などで探してみるのもいいと思います。

ちなみに楽天などでもプラスチックシャーレが買えます。こういうのが理想ですがなんでもいいと思います。

自分なりにアレンジしてみよう!

アレンジ1.ジャガイモ以外の色んな食材(色んな野菜、果物、牛乳、豆乳など)で培地を作ってみる。寒天は必須。ブドウ糖は場合によってはなくても良い。

アレンジ2.ブドウ糖なし、色んな糖を使ってみる。

アレンジ3.塩、辛味成分などを追加で入れてみる。薬品(抗菌薬、洗剤など)を入れるときは、加熱厳禁のものや混ぜるな危険のものは注意(説明書をしっかり読んでください)。食品成分が安心安全です。抗菌作用のあるものを入れてみるのも面白いかもしれません。

作った培地の保存法

すぐ使わない場合は、蓋をした状態で上下逆さまにしてラップなどで包んで冷蔵庫で保管してください。上下を逆さまにする理由は水滴が培地につかないようにするためです。

菌を培養してみよう!

培地ができたらあとはサンプルを培地に塗るだけです。

サンプリングしよう!

何でもいいので、真菌がいそうなものを探してみよう。例えば腐りかけの果物、土、葉っぱ、放置した液体などなど、探検しながら色々集めてみよう!米麹、カマンベールチーズ、ブルーチーズ、ぬか漬け、味噌など安全なものから単離するのも手です。

サンプルが液体の場合

綿棒にちょんとつけて自由に塗ってみよう。全体に伸ばしても、真ん中だけちょっとつけてもいいです。また、ジグザグになぞってもOKです。菌が多そうなときは、一度煮沸殺菌して冷やした水で希釈して塗ってください。

サンプルが個体の場合

一部をシャーレの真ん中に置く。もしくは一度滅菌して冷ました水に懸濁して、綿棒で塗ろう!

塗ったあとは?

蓋をして上下逆さまにして室温に放置しましょう。毎日観察して生育具合を確認しましょう。酵母は1〜数日で、カビは一週間ぐらいで生育してきます。気温を測っておくとなお良いと思います。

(発展)純粋培養してみよう!

生えた菌のコロニーを綿棒や爪楊枝でちょんと触って、新しい培地に塗ってみよう。

カビの場合は、真ん中にちょんとつけると、全体に広がるように生えてきます。

酵母の場合は、ジグザグに塗るといいでしょう。より観察しやすくなります。

観察しよう!

まずは見た目を観察してスケッチしよう!色は?大きさは?形は?フサフサしてる?つるつるしてる?など違いを観察して、何種類ぐらいいるかを考えてみよう!

学校に顕微鏡があったら覗いてみると面白いかもしれません。カビの胞子は実体顕微鏡で、酵母は生物顕微鏡で観察しましょう。今回のポテトデキストロース寒天培地はカビ・酵母用ですが細菌も生えるかもしれません。細菌(原核生物)の顕微鏡観察は生物顕微鏡で行いますが、400倍〜1000倍ぐらいは必要です。

カビや酵母は必ずしも安全なものばかりではなく、逆に危険なものの方が多いです。培養して観察したらゴミ箱に捨てましょう!間違っても口入れないようにしてくださいね。

楽しんでほしい

小学校ぐらいの自由研究なら細かいことは考えずに適当にやっていいと思います。ただ培地に菌が生育するだけでも感動します。その感動を楽しんでほしいと思います。

また、「何故?」を大切して沢山の「何故」を見つけてほしいと思います。

例えば、何故色んな色の菌がいるの?何故コロニーの大きさが違うの?何故ポテト培地がいいの?何故悪い菌と良い菌がいるの?などなど、子供の何故を引き出してあげて、一緒に考えてもらえらればと思います。

私は好奇心の塊のような人です。その好奇心が職業になったのが研究者です。普段の生活の何故を大切にしてほしいと思います。そして、その何故を自分なりに調べられる子どもたちが増えると、この世の中、もっと便利でもっと面白くなると思っています。

科学は何故から始まります。その何故を解決してきたから今の便利な世の中があります。でも難しいことは考えずに、楽しみましょう!

キノピー先生

名前:キノピー先生(大学の准教授) 専門分野:乳酸菌や発酵食品の機能性 20年以上、乳酸菌の研究に従事。現役の大学教員。大学の研究成果を社会に還元するために2021年に大学発ベンチャー企業である合同会社プロバイオを設立。最高経営責任者(CEO)を務める(兼業)。

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