大学で見出した豆乳ヨーグルト専用種菌について詳しくはこちら

失敗せずに家庭でヨーグルトを作る方法

make-yogurt
キノピー先生
大学准教授 兼 ベンチャーCEO
20年以上、乳酸菌の研究に従事。現役の大学教員。大学の研究成果を社会に還元するために2021年に大学発ベンチャー企業である合同会社プロバイオを設立。最高経営責任者(CEO)を務める(兼業)。

専門分野:乳酸菌や発酵食品の機能性
きんこちゃん

また失敗しちゃった・・・

キノピー先生

今日もまた悩んでるね。どうしたの、きんこちゃん?

きんこちゃん

家庭でヨーグルト作ってるんですけど、いつも失敗しちゃうんです・・・センセイ、失敗しないコツはありますか?

ペディオちゃん

(ぼくのこともっと知ってくれれば失敗しないよ)

きんこちゃん

えっ?どういうこと?

ペディオちゃん

(ぼくが生きやすい環境が大事なんだよ。特に温度が重要だよ。下に書いたから学んでみてね)

きんこちゃん

そうなんだね。学んで作ってみるね!

キノピー先生

(また私の出番が・・・)

目次

ヨーグルトスターターって何?

ヨーグルトの製造に使われる乳酸菌はブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)とサーモフィルス菌(Streptococcus thermophilus)という乳酸菌で,発酵をスタートさせる菌なのでヨーグルトスターター,スターター乳酸菌,あるいは単にスターターと呼ばれます。

世界保健機構(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)は,この2つの菌を使って製造したものをヨーグルトと定義していますので,その定義に従うとこれら以外の乳酸菌で作ったものはヨーグルトとは呼べないことになります。但し,各国で定義は異なり,日本ではヨーグルトという名称での定義はなく「発酵乳」という括りで「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(通称,乳等省令)」にて定義されています。そこでは特に乳酸菌の種類については限定されていません。

重要な発酵温度

 ヨーグルトを作る際に知っておきたい大事な点は発酵温度です。ヨーグルトスターターは,中温菌で生育適温は40℃前後(35〜45℃)となります。そのためヨーグルトを作る際には保温できるヨーグルトメーカーが必要になります。60℃以上になると急速に死滅していきますので,殺菌後の牛乳は人肌程度まで冷ましてからスターターを入れてください。また,カスピ海ヨーグルトを作る場合は通常のヨーグルトと発酵温度が異なりますので注意が必要です。カスピ海ヨーグルトに含まれる乳酸菌はチーズの製造によく用いられるクレモリス菌(Lactoccoccus lactis subsp. cremoris)です。この菌の生育適温は,25〜30℃ぐらいですので季節によってはヨーグルトメーカーを使わずに室温で作ることができます

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自家製ヨーグルトでプロバイオティクスは増えるのか?

 近年よく見られるプロバイオティクスは,乳中での生育ができなかったり,緩慢だったりします。そのため,市販のヨーグルトを種菌にしてもその商品と同じものができるとは限りません(基本的にブルガリア菌とサーモフィルス菌は全てのヨーグルトに含まれていますのでヨーグルト自体はできます)。また,ビフィズス菌は酸素があると死んでしまいますので家庭で増やすことは難しいと考えられます。機能性も同様で,家庭で作ったヨーグルトと市販のヨーグルトが同等の機能を持っているとは限らないことは留意すべき点かと思います

ヨーグルトの作り方

 ヨーグルトの作り方は非常に簡単です。殺菌と培養温度さえ適切であれば家庭でも美味しいヨーグルトを作ることができます。

  1. 器具(容器やスプーン)の殺菌(煮沸または熱湯をかける)。
  2. 牛乳の殺菌。殺菌条件は色々とありますが,家庭では沸騰直前まで加熱するのが良いと思います。
  3. 牛乳を40℃前後まで冷ました後,市販のヨーグルトか種菌を入れてよく混ぜる。入れる量は,1 Lの牛乳に対して大さじ2〜3杯(約30〜45 ml)程度で十分です。市販の種菌を入れる場合は付属の説明書に従ってください。
  4. ヨーグルトメーカーにセットして40℃前後で数時間保温する。培養温度や時間によって酸味等が変わってきますので好みに合う条件を探してみてください。
  5. 固まったら冷蔵庫で冷却する。

 牛乳パックをそのまま入れるタイプのヨーグルトメーカーも市販されています。その場合,牛乳は必ずしも殺菌しなくても大丈夫ですが,必ず未開封の牛乳を使うようにしてください。アルコール綿などで牛乳パックの開口部付近を拭き,開口部はできるだけ小さくし,開口時間も極力短くするようにすることで,雑菌汚染のリスクを減らすことができます。牛乳を冷たいまま使うと乳酸菌が活発に活動する温度(40℃前後)になるまで時間がかかるため雑菌が増える要因になります。そのため,室温〜40℃ぐらいまで事前に温めておくと良いでしょう。

 また,豆乳を使うと発酵豆乳(豆乳ヨーグルト)を作製することも可能です。タンパク質含有量が少ないと十分固まらない場合がありますので,無調整豆乳を使うと良いでしょう。もちろんそのまま食べても良いですが、豆乳特有の風味が苦手な人は黒蜜やきな粉をかけると美味しく食べることができると思います。調製豆乳でも発酵はしますが,ドロドロの液体状(ドリンクタイプ)の発酵豆乳となります。こちらについては別途記事を書きたいと思います。

大学の研究で見出した豆乳ヨーグルト専用種菌についてはこちら

注意事項

 発酵温度については先に述べたとおりですが,家庭でヨーグルトを作る際に一番気をつけなければならないことは雑菌汚染です。牛乳が固まらなかったり,表面に色(赤色や黄色など)が付いていたり,食べた時に変な味がしたり,舌がピリピリした場合は雑菌汚染している可能性があります。その場合,廃棄したほうが無難です。

 もし種菌を繰り返し使う場合は,小さな容器で口を付けない保存用のヨーグルトを別に作っておくことをお勧めします。冷蔵庫に入れておけば数週間は保存可能です。あまり繰り返し使用すると雑菌汚染の可能性が高くなってきますので,繰り返しの使用は2〜3回ぐらいに留めておき,新しい種菌を使うことをお勧めします

 

 以上の点を注意すれば誰でも簡単に家庭でヨーグルトを作ることができます。是非,自分の好みに合うヨーグルトを作ってみてください。

キノピー先生

名前:キノピー先生(大学の准教授) 専門分野:乳酸菌や発酵食品の機能性 20年以上、乳酸菌の研究に従事。現役の大学教員。大学の研究成果を社会に還元するために2021年に大学発ベンチャー企業である合同会社プロバイオを設立。最高経営責任者(CEO)を務める(兼業)。

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