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昔の人の知恵〜食品保存と水分活性〜

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キノピー先生
大学准教授 兼 ベンチャーCEO
20年以上、乳酸菌の研究に従事。現役の大学教員。大学の研究成果を社会に還元するために2021年に大学発ベンチャー企業である合同会社プロバイオを設立。最高経営責任者(CEO)を務める(兼業)。

専門分野:乳酸菌や発酵食品の機能性
きんこちゃん

センセイ、この間買った果物をしばらく放置してたら腐ってました〜。ショックです〜。

キノピー先生

しょくひんだもの

きんこちゃん

でも腐りやすい食品とそうじゃない食品があるじゃないですか?あれは何でなんですか?

キノピー先生

色々要因はあるけど、今日は食品保存のお話をしましょうか

きんこちゃん

是非おねがいしまーす

目次

色んな食品保存方法

昔と違って今は様々な食品保存方法がありますね。ざっと挙げてみました。

・冷蔵

・冷凍

・乾燥

・缶詰

・レトルト

・発酵

・塩蔵(塩漬け)

・糖蔵(砂糖漬け)

・添加物(保存料、pH調整剤、天然抗菌物質など)

・包装技術(MA包装など)

・酸化防止剤、脱酸素剤、乾燥剤

沢山ありますね。これを全て説明するのは大変なので今日は水分活性と食品保存について書いていきたいと思います。難しく感じたら赤でマークしたところだけ読んでみてください。

水分活性とは?

水分活性とは、食品に微生物が利用できる水分(自由水と言います)がどの程度含まれているかなどの指標になる値です。 完全に乾燥した食品は0となり、純水は1となります(水分活性は0〜1までということです)。

こらから出てくる図は下記の本をから引用させていただいています。非常に分かりやすいオススメの本です。

上の表2を見ると、水分活性が低いものは長期保存可能なものが多いことが分かると思います。

結合水と自由水

では何故、水分活性が低いと長期保存が可能なのでしょうか?

その前に、結合水と自由水について説明します。結合水とは水に溶けている成分にくっついている水です。水素結合でくっついています。

水とくっついていない水分子を自由水といい、微生物は自由水を使って生育します。下図のCの水が自由水です。

あまり難しく考えずに微生物は自由水を使って生育することだけ覚えておいて下さい。

塩漬けや砂糖漬けにより食品の保存性が高まる理由

塩はNaClですよね。これを水に溶かすとNa+とClになります。実は、水に塩を溶かすと下の図のように水分子がNa+とClにつっつきます。糖(グルコース)の例もその下に書いてあります。同様に水分子がくっつきます。

水分子が何かにくっつくとその分、微生物が生育に使う水(自由水)が減ります。つまり水分活性が減るわけです。ここで下の図を見てください。

カビは水分活性が0.7以下、酵母は0.75以下、細菌は0.8以下では生育しないことが分かります(赤い点線です)。水がないと生物は生きていけませんから水分活性が低くなると微生物は繁殖しません。これが塩漬けや砂糖漬けで保存性が高まる理由です。

まとめ

まとめるとこんな感じです。

  1. 水に砂糖や塩を入れると砂糖や水に水分子がくっつく
  2. 微生物が生育するために必要な水(自由水)が減る
  3. 微生物が生育できなくなる
  4. 保存性が高まる

下の図がまとめの図です。

乾燥させたり、凍らせたりすることでも水分活性が低下します。

昔の人は、こんな理論は知りません。経験だけで食品保存技術を開発してきたわけです。先人の知恵は本当に凄いですね。発酵なんかも食品保存技術ですからこれについてもいつか書きたいと思います。

キノピー先生

名前:キノピー先生(大学の准教授) 専門分野:乳酸菌や発酵食品の機能性 20年以上、乳酸菌の研究に従事。現役の大学教員。大学の研究成果を社会に還元するために2021年に大学発ベンチャー企業である合同会社プロバイオを設立。最高経営責任者(CEO)を務める(兼業)。

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