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生命の源:大豆タンパク質

soyprotein
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キノピー先生
大学准教授 兼 ベンチャーCEO
20年以上、乳酸菌の研究に従事。現役の大学教員。大学の研究成果を社会に還元するために2021年に大学発ベンチャー企業である合同会社プロバイオを設立。最高経営責任者(CEO)を務める(兼業)。

専門分野:乳酸菌や発酵食品の機能性
キノピー先生

おはこんばんちは〜

きんこちゃん

また、その挨拶。若干、滑ってますよ〜

キノピー先生

(・・・)

きんこちゃん

前回のイソフラボンの話、良かったです。今回は何の話してくれるんですか?毎回、楽しみにしています

キノピー先生

今日は大豆タンパク質の話をしようかな

きんこちゃん

一つ一つ学べるのは嬉しいです!

キノピー先生

ではいってみよう!擬人化は意外と難しいし逆に分かりにくくなったりするので今回はやめておきます

ペディオちゃん

(くるしゅうないぞ、ぼくを出してくれたまえ)

目次

タンパク質の重要性

タンパク質はアミノ酸からできており、3大栄養素の1つです。英語ではプロテイン(protein)で、これはギリシャ語の「proteios」が語源で、「第一のもの」という意味があります。そのぐらい大切なものということです。

タンパク質の役割は多種多様で、臓器、皮膚、筋肉、コラーゲン、酵素、毛、爪、ホルモン、抗体、サイトカイン等々、、、、もう挙げればキリがないほど様々なものがタンパク質で作られています。生命の根幹をなすものと言っても過言じゃないですね。

タンパク質は特に肉、魚介類 、卵 、乳製品など動物性食品に多く含まれていますが、植物である大豆にも多くのタンパク質が含まれています

そんなタンパク質ですが、偏った食事、ダイエット、高齢化による食事量の減少などにより、不足することがよくあります

朝をパンだけで済ましたりしていませんか?また、過度なダイエットをしていませんか?過度なダイエットによって筋力だけ落ちて、リバウンド後は余計に太りやすい体質になったります。繰り返しますが、タンパク質は現代人が不足しがちな栄養素の一つです

タンパク質は生命の源ですから、これが不足すると様々な問題(体調不良、疾患、肌・爪・毛髪トラブルなど)を引き起こします。

「プロテインを取りましょう」というと、マッチョになりたくないと考える女性がいますが、そんなことには絶対になりませんからご安心ください。タンパク質を食べるだけでマッチョになるならこんなに楽なことはありません。相当追い込んで筋トレしないと無理です(女性だと通常それでもマッチョにはなりません。引き締まった体にはなるでしょうが)。

様々なタンパク質サプリメント

タンパク質は食品から摂るのが理想ではありますが、必要量を確保するのは忙しい現代人にはなかなか難しかったりします。そのため、上手にタンパク質のサプリメントを利用するのも一つの手かと思います。私は豆乳ヨーグルトスムージーに入れて使っています(味付けも兼ねて)。可能な限り人工甘味料などが入っていないものを選んでますが、なかなかパーフェクトのものは少ないのでその辺りはある程度割り切って、できる限り裏面をみて判断しています。

タンパク質サプリメントで使われているものは、カゼインタンパク質(牛乳のタンパク質)、ホエータンパク質(牛乳のタンパク質)、大豆タンパク質が主流ですが、その他の豆や米由来のタンパク質あります。牛乳タンパク質ならカゼインよりもホエーがいいのかなと思っています(後述のアレルゲン参考)。でもこれは人によるかと思います。

ホエープロテイン

ソイプロテイン

えんどう豆と玄米プロテイン

タンパク質はアレルゲンとなりうる

タンパク質はアレルゲンとなりうる物質でもあります。例えばカゼインでは、αS1-カゼイン、ホエータンパク質ではβ-ラクトグロブリン、大豆タンパク質ではGlymBd30Kというタンパク質やβ-コングリシニンがアレルゲンとなりやすいタンパク質です。

牛乳にアレルギーを持つ小児を対象にした論文ではβ-ラクトグロブリンよりもカゼインに反応するIg-Eを持つ人が多いことが報告されています(引用:中野ら, 牛乳アレルギー患者におけるカゼイン,β ラクトグロブリン感作 に関する研究, ア レ ル ギ ー 59, 117―122, 2010)。

牛乳中のタンパク質の80%はカゼインでホエータンパク質が20%です。αS1-カゼインは全カゼインの約37%、β-ラクトグロブリンは全ホエータンパク質の約50%を占めています。構造的な違いもあるのだと思いますが、牛乳全体ではαS1-カゼインの方がβ-ラクトグロブリンより圧倒的に多いのも一つの要因かもしれません。

アレルゲンになりやすさはタンパク質の構造や含有量などにより違いが出てきますが、どんなタンパク質もアレルゲンとなる可能性は秘めていますタンパク質自体は必要不可欠なものですので、過剰に怖がらずに色んなタンパク質を摂取したら良いと思います。

それでも怖い人は一度、病院等でアレルゲンの検査を受けてみるといいと思います。IgE抗体では即時型、IgG抗体では遅延型のアレルギーを見ることができます。特に遅延型アレルギーは気付きにくいので気になる方はチェックしてもいいかもしれません。

調べたら自宅でできるキットもあるようです。お高いですが、120項目と219項目検査できるものがあるみたいです(凄い検査項目ですねぇ)。参考までに。

120項目の遅延型フードアレルギー検査キット

219項目の遅延型フードアレルギー検査キット

必須アミノ酸とは?

タンパク質を構成するのはアミノ酸です。いくつかのアミノ酸は体の中で自分たちで合成することが可能です。自分の体で作ることができないアミノ酸を必須アミノ酸と言います。20種類のアミノ酸の中で必須アミノ酸は9種類です

必須アミノ酸の覚え方は下の語呂合わせを使えば簡単です(20種類のアミノ酸の名前を知っていれば)。

「風呂場イス独り占め」です。

銭湯に椅子がずら~っと並んでいるところを想像してみてください。それを独り占めしている状態です。これで一撃で覚えられます。

ただし、リジン(リシンとも)だけ、二文字使うので注意が必要です。

・・・フェニルアラニン

・・・ロイシン

・・・バリン

・・・イソロイシン

・・・スレオニン(トレオニン)

・・・ヒスチジン

・・・トリプトファン

リジ・・・リジン(リシン)

・・・メチオニン

必須アミノ酸は体内で合成できないので積極的に摂取していかなければなりません。タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されているため、体内合成できない必須アミノ酸が一つでも不足すると十分な量のタンパク質を合成できなくなります。その指標となるのがアミノ酸スコアです。

アミノ酸スコア

この必須アミノ酸をスコア化したのがアミノ酸スコアです。基準に従って算出されるもので100が最高値です。

昔の基準では大豆のアミノ酸スコアは86でしたが、新基準では100に修正されています。これはメチオニンの基準値が変わったためです。過小評価されていたわけです。

アミノ酸スコアはトータルの食事で100になればいいので、一つの食材に拘る必要はありません。バランスよく摂取することが重要です。食事はタンパク質だけ見れば良いというものではないので。

【主な食材のアミノ酸スコア】

肉類(牛豚鶏)100、魚100、卵100、乳製品100、大豆100、玄米64〜67、精白米56、食パン33、うどん31、ジャガイモ68、ブロッコリー76、小松菜81

分岐鎖アミノ酸

もう一つ重要なアミノ酸を紹介します。それは分岐鎖アミノ酸です。分岐鎖アミノ酸は、Branched Chain Amino Acidの頭文字を取ってBCAAと呼ばれます。必須アミノ酸の中で、側鎖が分岐した形を取っているバリン、ロイシン、イソロイシンを指します

筋肉中のタンパク質の35〜40%がBCAAと言われており、これらを摂取することにより、運動後の疲労回復と筋肉の分解抑制効果が期待できます。スポーツする人は効率的にBCAAを摂取するためにサプリメントを上手に使っています。BCAAは、運動する30分前に飲むと良いと言われています(一般の人は、運動前2g以上。長く運動する人は、運動中にチビチビ摂って計4g以上)。また、肝機能の向上効果があることから、肝硬変の患者さんにBCAAを処方する場合もあり、肝臓の栄養不足が改善され、予後が良くなることが知られています。

バリン(ウィキペディアより引用)
ロイシン(ウィキペディアより引用)
イソロイシン(ウィキペディアより引用)

BCAAは肉、魚(特にマグロ、カツオ、アジ、サンマ)、卵、牛乳に多く含まれていますが、大豆にも多くBCAAが含まれています

大豆タンパク質って?

大豆は畑の肉と言われるぐらいタンパク質が豊富です。非常に消化・吸収されやすいタンパク質と言われています。

大豆タンパク質は、おおよそグリシニン(約40%)、β-コングリシニン(約20%)、リン脂質結合性タンパク質(LP)(約40%)で構成されています。これらが大豆加工食品の物性などにも関わっています。

豆乳の等電点(電荷の総和が0になるpH)は、pH 4.2~4.5なのでこのぐらいのpHが一番凝固しやすいpHになります。ちょうどペディオちゃんで培養するとこのぐらいにまで落ちます(培養時間による)

大豆タンパク質の機能性

大豆タンパク質には様々な機能性が報告されていますが、主役はβ-コングリシニンです。

大豆タンパク質には、コレステロール低減作用、動脈硬化予防、ダイエット効果などがあります。ちょっとマニアックな内容は下に記載してます。興味がある人だけみてください。

  • β-コングリシニン、リン脂質結合大豆ペプチドは、特定保健用食品におけるコレステロール吸収の抑制成分として知られている。
  • ラットの試験では、カゼイン摂取に比べ肝臓リン脂質のリノール酸の割合が増加し、アラキドン酸の割合が減少。血漿および肝臓のトリグリセリドの濃度低下も見られたとの報告がある。                      →肝臓における脂肪酸合成の低下やβ酸化による脂肪酸分解の促進
  • β-コングリシニン摂取で脂肪組織の重量減少、アディポネクチン、食欲抑制ホルモンの分泌促進したのとの報告がある。
  • 大豆タンパク質摂取で、インスリン濃度低下、肝臓の脂肪酸合成抑制、脂肪の蓄積減少、骨格筋によるグルコース取り込みの促進などが報告されている。

上記の結果から糖尿病およびその予備軍の方にも優れた食材と言えそうです。豆乳は血糖値を上げにくい低GI食品でもあります

大豆タンパク質の機能性は消化や発酵によりできるペプチドだったりします。豆乳ヨーグルトの場合、乳酸菌による発酵によりペプチドも増えますが、使う乳酸菌により種類や量が変わってきます。こちらはについてはこれから研究していく予定です。

上記のようにタンパク質は非常に重要な栄養素ですが、肉を100g食べるのと、豆乳ヨーグルトを100g食べるのでは食べやすさが全然違います。豆乳ヨーグルトは、消化性も良く、食べやすいため、食欲が落ちてきたお年寄りのタンパク質不足を補うのにもピッタリな食品だと思います。豆乳ヨーグルトを食べて散歩しましょう!

ということで、今回はタンパク質のお話でした。下のイソフラボンもぜひ見てくださいね。

キノピー先生

名前:キノピー先生(大学の准教授) 専門分野:乳酸菌や発酵食品の機能性 20年以上、乳酸菌の研究に従事。現役の大学教員。大学の研究成果を社会に還元するために2021年に大学発ベンチャー企業である合同会社プロバイオを設立。最高経営責任者(CEO)を務める(兼業)。

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