大学で見出した豆乳ヨーグルト専用種菌について詳しくはこちら

キノピー菌誕生秘話①

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キノピー先生
大学准教授 兼 ベンチャーCEO
20年以上、乳酸菌の研究に従事。現役の大学教員。大学の研究成果を社会に還元するために2021年に大学発ベンチャー企業である合同会社プロバイオを設立。最高経営責任者(CEO)を務める(兼業)。

専門分野:乳酸菌や発酵食品の機能性
きんこちゃん

センセイ、センセイの見つけたキノピー菌で作った豆乳ヨーグルトめちゃくちゃ美味しいですね!

キノピー先生

ありがとう!十年以上、数百万の研究費をかけて選んだ乳酸菌だからね!

きんこちゃん

凄い!そんなに!どうやって選んだんですか?ぜひ教えてください!

キノピー先生

では今日はキノピー菌の誕生秘話を語りましょう。色々苦労しました・・・

ペディオちゃん

(やっとぼくにスポットライトが!!)

キノピー先生

ペディオちゃんの愛称はキノピー菌だってこと忘れてたよ

ペディオちゃん

(・・・・)

目次

キノピー菌誕生秘話

キッカケは東日本大震災でした。当時、宮城県に住んでいた私は東日本大震災に遭い心と身体を大きく揺さぶられました。強烈なそして長い長い地震でした。

その後に起こった福島第一原子力発電所の爆発事故、、、今でも鮮明に覚えています。当時の官房長官がとんでもない量の汗をかきながら「直ちに健康に影響はありません」と会見で言っている姿を。あれを見てとんでもないことが起こったと思いました。

しばらくして学生時代から慣れ親しんだ海岸沿いを見に行きました。全てが一変していました。言葉が出ないというのはこういうことを言うのだと思い知りました。居ても立っても居られずに大学の同僚とボランティアに行ったりしましたが、半分は何もできない自分を慰めるための行為だったように思います。その後も、大学で泥の掻き出しのボランティアにも何度か行きましたが、体力もない私はできることは限られていました。

私はあまりにも無力でした

それから考え方を大きく変えました。

自分にできることをやろう!」と。

当時も今も一番得意なことは「乳酸菌の研究」、これで貢献できることはないかと考えました

当時、乳酸菌に重金属を吸着させればそのまま体外へ排出できるのでは?と考え乳酸菌を重金属のデトックスに使う研究をしていました。放射線に関する知識は殆どありませんでしたが、同じようにセシウムやストロンチウムを吸着する乳酸菌がいれば内部被曝の低減に使えるのじゃないかと思い研究をスタートしました。2011年のことでした。

簡単に見つかると思っていましたが、予想に反してこの実験はなかなか上手くいませんでした。水銀やカドミウムでは比較的よく吸着したのにセシウムやストロンチウムを吸着する菌はなかなか見つからなかったのです。

でも諦めずに研究を続けました。

研究室保有の菌を増やすために新たに菌を単離からやり直しました。様々な食品から培地を用いて菌を単離します。単離したら今度は形態観察したりDNAを調べたりして本当に乳酸菌なのか、どんな種類の乳酸菌なのかを調べます。次に放射性核種の吸着試験です。1ppm(mg/kg)のセシウムまたはストロンチウム溶液に乳酸菌を入れて、しばらく置いた後に菌を取り除き濃度をICP-MSという機械で測定します。それを繰り返す実験です。そして、やっと少しだけ吸着してくれる菌が見つかりました。当時の学生さんは本当によく頑張ってくれたと思います。

そうやってセシウムとストロンチウムを吸着する乳酸菌を見つけました。

それが後のキノピー菌(ペディオちゃん)となりました。

一応論文化しましたが、当時若手研究者であまりにもお金がなかったので投稿料がかからないところを探して投稿しました。

Kinoshita H, Sato Y, Ohtake F, Ishida M, Komoda T, Kitazawa H, Saito T and Kimura K. In vitro mass-screening of lactic acid bacteria as potential biosorbents of cesium and strontium. J. Microbiol.Biotechnol. Food Sci. 4 (5), 383-386 (2015)

http://dx.doi.org/10.15414/jmbfs.2015.4.5.383-386

ちなみに、野生動物などを見ると、放射性核種は糞便中に多く蓄積していることが分かっています。腸内細菌が私達を守ってくれているのだと思います。また、その点を考えると、放射性核種を外に出すためには快便であることが非常に重要だとわかります

とんでもないポテンシャル

だが私はキノピー菌のポテンシャルをまだ甘くみていました。何年後かにこの乳酸菌の真の能力を知ることになるのですが、その時はまだ一つの特徴を持ったただの菌でした。その凄さについては徐々に書いていきたいと思います(実は論文化できておらず、まだ公開できないものも多くあります)。

セシウム、ストロンチウムを吸着できる菌として発見されたキノピー菌でしたが、懸念点がありました。それはカドミウムや水銀に比べ吸着量が少なかったのです。これでは内部被曝低減効果が十分期待できるか不安でした。だから色々調べて別の角度からアプローチすることにしました。

行きついた結論は抗酸化と免疫賦活化でした

トリプルプロテクトで内部被曝から守る!

私のアイデアはこうでした。

まず、①放射性核種(セシウムやストロンチウム)を乳酸菌で吸着し、そのまま体外へ出し、②抗酸化能で細胞のダメージを軽減する。そして、③仮に細胞がガン化しても免疫がしっかりしていればそれを排除できると考えたのです。3つの効果で内部被曝から守ってくれる乳酸菌を探そうと考えたわけです。

こんなイメージです

このときはまだ豆乳ヨーグルトという発想はありませんでした。

②につづく

キノピー先生

名前:キノピー先生(大学の准教授) 専門分野:乳酸菌や発酵食品の機能性 20年以上、乳酸菌の研究に従事。現役の大学教員。大学の研究成果を社会に還元するために2021年に大学発ベンチャー企業である合同会社プロバイオを設立。最高経営責任者(CEO)を務める(兼業)。

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