最近、乳酸菌のことが徐々にわかってきて、もっともっと知りたいと思えるようになってきました
それは良かった!そういうのが一番嬉しいです
(ぼくも嬉しい!!!)
では今日は乳酸菌がどこにいて、どうやって単離するのかを解説するね。あと、単離した菌をどうやって乳酸菌だと判別しているかを解説します!
ぜひぜひ、お願いします!
乳酸菌が存在する場所
乳酸菌といえばヨーグルトやチーズを想像する人が多いと思いますが、それ以外にも様々な場所に存在しています。下の表に乳酸菌がどのような場所に存在しているかをまとめました。乳酸菌は発酵乳製品、発酵肉製品、醸造製品、大豆発酵製品、漬物など多くの食品に含まれ我々は日常的に乳酸菌を食べています。
私たちの研究室では食品など様々なものから乳酸菌を単離して研究に活用しています。その数は1,000株以上です。
上記のように様々なところに乳酸菌はいて、簡単に単離することができます。但し、市販のものは殺菌されているものも多く当然それらからは乳酸菌は単離できません(そもそも私たちの研究では市販のものは使えないので単離はしていませんが)。例えば、日本酒(清酒)は製造過程で乳酸菌が増えますが、生酒以外は火入れ(加熱殺菌)しているため、そこから単離することはできません。
韓国のマッコリは火入れしてあるものもありますが、火入れしない生マッコリも多く飲まれており、生マッコリには沢山の乳酸菌が生きたまま残っていることが知られています。
その他の食品では、サワードゥ(酸っぱいパン種)、なれ鮨、後発酵茶(碁石茶、阿波茶など)、野菜、果物からも乳酸菌が単離されます。また、食品以外ではヒトや動物の消化管、糞便に含まれているほか、家畜の飼料として使われているサイレージ(牧草を発酵させたもの)にも大量に乳酸菌が含まれています。
また、最近では海産物や海水などからも乳酸菌が次々に見つかってきており、耐塩性が高く、好塩基性(好アルカリ性)を示すなど面白い特徴を持つものも単離されています。探せばどこにでもいるのかもしれません。
乳酸菌を単離する方法
乳酸菌を単離するための培地には、乳酸菌用の寒天培地を用います(MRSという培地が良く使われます)。下に一般的な乳酸菌の単離法について簡単に記載しました。
- サンプルを細かく切る(サンプルによっては必要なし)。
- サンプルを滅菌した生理食塩水などに懸濁する。
- 寒天培地に少量添加し、塗り拡げる。
- 密封容器に酸素吸着剤と共に入れ密封する(これで中は嫌気状態となる)。
- 30〜37℃で2〜3日間培養する。
- 形成されたコロニーを採取する。
このようにして単離された乳酸菌を増やし、機能性や安全性を調べて様々な食品に利用されています。現在、米の研ぎ汁に黒蜜や食塩などを入れて自分で発酵させた発酵液を使って豆乳ヨーグルトを作る人が増えていますが、そのような場合、他の雑菌も混ざっていることも多く十分安全性が保証できないことを認識しておく必要があります。少しでも味や匂いなどに違和感を感じたら廃棄したほうが無難です。市販のスターターを使えば失敗もなく、安全に作製できます。
乳酸菌かどうかを調べる方法
単離した菌が乳酸菌かどうかを調べるためにはどうすれば良いのでしょうか?顕微鏡を用いた形態観察は古くから行われていますが、今でもまず最初に行うべき有効な手段です。グラム染色という染色を行い生物顕微鏡を用いて400倍〜1,000倍の倍率で、染まり方と形態、大きさ等を観察します。乳酸菌は青色に染まり、丸い形か棒状の形をしています。
それからカタラーゼという過酸化水素を水と酸素に分解する酵素を持っているかを調べます。乳酸菌は一部の例外を除きカタラーゼを持っていませんので、形態観察の結果と合わせると乳酸菌かどうかの判断がしやすくなります。
また、どのような糖を利用して増殖できるかを見る糖資化試験や15℃や45℃での生育性を見る試験なども乳酸菌かどうか、あるいは乳酸菌ならどのような種類の乳酸菌かを判断する基準になります。
最近では、DNA配列を比較する方法が主流となっています。このように様々な性質を調べて基準となる菌と照らし合わせて複合的に判断します。
以上のように、乳酸菌は様々な場所に存在し、食品等に利用されています。最近では飲料水や菓子類にまで乳酸菌が使われるようになりました。乳酸菌は私達人間と同じように個性があり同じ種の乳酸菌でも性質が異なっています。また、私達の腸内細菌も一人一人違います。是非、乳酸菌が含まれる色々な種類の発酵食品を食べて、自分に合ったものを見つけてみてください。
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